文化系のためのスポーツ読み物・映画とか① 〜たった一人のオリンピック〜

みなさん、スポーツやってます? スポーツとまではいかなくても、ジョギングとか、ヨガとか。わたしは昨年の秋までは、スポーツとは無縁の生活を送ってました。いや、むかし、中高のころは、バスケやったりしてましたよ。ええ、かなりやってた方だと思います。

だけど、東京に進学してから、全くですね。よく言えば文学青年っていうんですか、悪く言えば、宮崎勤の部屋みたいなところに住む人間になりましたね、ええ。

あんまり人が 知らないような音楽とか聴いたり、難しい本読んだりして、悦に入ったりしてね。

まわりの学生とかはテニサーで適度に汗流した後、飲みに行くみたいなことで、楽しんでたようですね。私は、そういう適度っていうのが性に合わないみたいで。変にストイックなところありまして。

まあ、簡単に言えば非リアでしたね。

だけど、本や映画を通しては、スポーツに触れてましたね。あと、バスケの試合観に行ったりとかしたりして、まあ、自分ではやらないけど、スポーツはずっと好きだったんですね。

今日はそのような私が好きなスポーツ読み物を一つ紹介したいです。

「たった一人のオリンピック」っていうの聞いたことあります? 知らなくても、「江夏の21球」っていうのは聞いたことあるでしょ。絶体絶命を江夏が切り抜けるやつ。

えっ、スタローンが危機一髪で絶壁からパンツ一丁で飛ぶやつ? それ、クリフハンガーでしょ、多分。それ映画だし、読み物っいったじゃん! え?、ほんとに聞いたことない? じゃあ、書くのやめるか??

やっぱ、続けます。「江夏の21球」というのは、スポーツノンフィクションの世界では古典とされる作品で、『スローカーブを、もう一球』という角川文庫に収録されてます。著者は山際淳司さんです。そういうのが好きな人にとっては、めちゃくちゃ有名です、この本。この本はスポーツに関するいろいろなノンフィクションが収録されていて、その中の一つが「たった一人のオリンピック」っていうやつです。

平凡な大学生の青年が主役の作品です。その青年は大学生だった20歳の時、オリンピックに出場しようと決意するんですよ。大学で何の部活に所属せず、勉学にも熱心でなく、麻雀に明け暮れていた大学生が、ゼロからオリンピックに出場しようと。

ある程度の大人になってから、オリンピックに出ようと思いつき、それに向かってゼロから努力をするなんてことは、ほとんど荒唐無稽でしょ。しかし、この青年はその荒唐無稽なことを実行したんです。一般的な価値観からは、しちゃったという方が正しいかな。

怠惰な大学生が、オリンピックに出ようとする。私、やられましたね。大好きですね、こういう飛躍や過剰なところ。言い方かえると気が違っているところ。私、大好きです、ほんとに。

青年が選んだ種目は一人乗りボートです。

「ボートを始めたことは、友人の誰にも話さなかった。これでオリンピックに出るんだといえば《間違いなくバカにされる》からである。」(「たった一人のオリンピック」より)

されるとおもいます、はい。

競技人口が少ない種目を選び、ローンで数十万円するボートを買い、競技の支障となる痔の手術も行います。そして、就職もせず、アルバイトを続けながら一人で練習を積み重ねます。

「全日本で勝つまでは、黙っていようというのが彼の姿勢だった。つまり、簡単にいってしまえば、彼は孤独だった。しかし、本当の意味での孤独だったわけではない。彼は孤独に練習する自分を対象化することができた。(同上)

ぐはーっ、たまらん! おれもこんなに自分を追い込んでみたい! 無難に勉強とか仕事とかしてる場合じゃない!それがお前の本当にやりたいことなのか? 定年まで、パソコンで書類作って、周りに愛想笑い浮かべて、ローンでウサギ小屋買うの?そんなことで、お前の人生すり減らして、あっという間にさよならだよ!

ごめんなさい、最近躁鬱が激しくて。

「たった一人のオリンピック」は、この文章から始まります。

「使い古しの、すっかり薄く丸くなってしまった石鹸を見て、ちょっと待ってくれという気分になってみたりすることが、多分、だれにでもあるはずだ。 ~中略~

これじゃまるで自分のようではないか、と。日常的に、あまりに日常的に日々を生きすぎてしまうなかで、ぼくらはおどろくほど丸くなり、うすっぺらくなっている。」(同上)

大学ボート部を中心とした古い考えに支配されている日本ボート界をよそ目に、彼は、ボートを我流で改造し、海外から漕艇技術を取り入れ一人で練習を続けます。こういうところも私すきですね、我流とか独学とか、オタク的なところ。基本わたし人の意見とか聞いてないし。

彼は数年で全日本のタイトル取り、モスクワオリンピックの代表に選ばれます。そのあとのことは作品を読んでください。

「使い古しの石鹸のようになって、そのことのおぞましいまでの恐ろしさにふと気づき、地球の自転を止めるようにして自らの人生を逆回転させてみようと思うのはナンセンスなのだろうか。周囲の人たちは昨日までと同じように歩いていく。それに逆らうように立ち止まってみる。それだけで、人は一匹狼だろう。」(同上)

 わたし最近、会社帰り丸ノ内線のある駅で途中下車するようになりました。わたしなりに立ち止まってるんですかね。もちろん、仕事辞めるなんて、勇気ありませんが、何か?

だけど、最近、楽しいです、ほんとうに。立ち止まって何してるかって? それはまた別のお話し。

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