走るために生まれてきた奴らの明日なき暴走。70年代、80年代の国産バイク映画5選

先日、インドネシアに仕事で行ってきたが、大量のバイクが走っている光景が印象的だった。2人乗りは当たり前。3人乗り、4人乗りまでいた。バイク屋台もあったり、とにかくバイクの群れがすごかった。

そこで考えたのは、これらのバイクはどこからやってきたのだろう、ということだ。もともと日本で流通していたものが、流れ流れてインドネシアなどに行きついているのだろう。特に、70,80年代のものが。

70、80年代は国産バイクの各メーカーが凌ぎを削った黄金時代。仮面ライダーといったバイクヒーローも70,80年代を中心にTV化された。1971年に初代ライダー、1987年にブラックでひとつの区切りになったことからも、それは明らかだ。

70,80年代の日本映画には、バイクがフィーチャーされていることが多い。70~80年代のバイクが印象的な日本映画を5つ選んだ。

女番長 野良猫ロック(1970)

監督:長谷部安春
脚本:永原秀一
主演:和田アキコ、梶芽衣子、ケンサンダース、藤竜也

国内外からカルト的人気を誇る「野良猫ロック」シリーズの記念すべき1作目。なんと、主演は当時20歳の和田アキ子!和田アキ子が跨り暴れ回るバイクは、1969年モデル、HONDAのCB750 K0


HONDA CB750 K0 走行動画

70年代当時の新宿の風景を観ることができる貴重なドキュメントでもある。和田アキ子は本当はバイクを運転できなかったためか、上手くそれらしく見えるように撮られている。

ケンサンダースがいい味を発揮したボクサー役で出ている。若き日の梶芽衣子もとても良い。

梶芽衣子扮するメイの率いる軍団と敵対するセイユウカイwith取り巻きの女どもが揉めている渦中に現れる和田アキコ扮する「アッコ」。セイユウカイを蹴散らしそのカリスマ的求心力でメイの軍団の精神的支柱となる。そんな中、メイと恋仲の和田浩治演じるみちおがいろいろあった挙句、セイユウカイに殺される。落とし前をつけようと立ち上がるアッコとメイの軍団であったが…。

「ドゥッドゥビドゥッドゥビドゥワドゥワー」という和田アキ子のソウルフルな歌が印象的。歌は凄みがあるのだが、正直、和田アキコの演技が下手すぎる。存在感はあるが。また、梶芽衣子率いるスケバン軍団のアジトのクラブで「モップス」や当時のサイケめなバンドが演奏するシーンが差し込まれる。音楽的にも70年代当時の空気を存分に味わうことができる。

馬ではなくてバイクに乗って救世主が現れる西部劇的な話である。部外者であるはずの和田アキコだが排除も反発もされずその男気で受け入れられ、色々掻きまわした揚句、「ドゥッドゥビドゥッドゥビドゥワドゥワー」と歌って去っていくのだ。

女番長 ゲリラ(1972)

監督:鈴木則文
脚本: 鈴木則文、皆川隆之
主演:杉本美樹、池玲子、成瀬正孝、あがた森魚、岡八郎

鈴木則文監督による女番長(スケバン)シリーズ3作目。1作目、2作目の主演は池玲子であったが、本作は杉本美樹が主演となっている。

冒頭、スケバンたちがバイクに乗って颯爽と登場する。乗っているのは、HONDA CB750K2 、HONDA CB250といった型番のバイク。


1972年製、HONDA CB750K2


HONDA CB250

新宿から京都までバイク走らせやってきたスケバン4人組。男どもに絡まれるも、華麗に撃退。刺青彫られた乳をバッとだして「なめんじゃないよ!」と一喝。

男どもを次々にカモにしていくスケバンたち。淋病をネタにした不謹慎描写が強烈。やりたい放題。

杉本美樹のピンチをズバッと助けて稲妻のごとく登場するボクサーの卵の一郎。演じるのは成瀬正孝。渡瀬恒彦と並ぶ、ピラニア軍団の2

枚目俳優だ。若いころは禿げておらずかっこよかった。バーで成瀬正孝と杉本美樹が飲んでいると、そこにあがた森魚が現れる。役名は、あがた森男だ。一郎とは、同郷の仲という設定。田舎から出てきた若者が成り上がるには音楽かボクシングくらいしかないよな、みたいな話をして盛り上がる。

その後、いろいろあって一郎に不幸が訪れる。森男は、一郎のために「赤色エレジー」 を歌いあげる。


森男が歌う、「赤色エレジー」

裏切ったスケバン仲間に「総括リンチだ!」と杉本美樹はバイクに結んだロープで裏切り者をひきずり回しの刑に処す。この時に杉本美樹が運転しているバイクはYAMAHA DX250。


YAMAHA DX250

華麗なる逆襲を果たし、「番長、どこへ行こう?」と問われた杉本美樹はこう答える。

「風の向くまま、気の向くままさ」

濃厚描写満載、後味スッキリの娯楽作品である。

爆発! 暴走族 (1975)

監督: 石井輝男
脚本: 松本功、石井輝男
主演:岩城滉一、千葉真一、藍とも子、松平純子(この作品で初ヌード)

新幹線大爆破で映画デビューした岩城滉一の初主演作。「クールス」でマジもんの暴走族だっただけあって、バイクに乗る姿、革ジャンの着こなしはキマっている。しかし、滑舌と台詞回しが素人。役者としては未熟、不良としては本物の匂いプンプンの時代の岩城晃一を堪能できる一作。

岩城滉一が乗っているバイクは、KAWASAKI 750RSのブラックカラー、通称カワサキZ2。

チョイ悪オヤジが黒の革ジャンで乗りたくなる、カワサキZ2。

石井輝男映画の予告編は毎度クレイジー

話はざっくり言うと、一匹狼のバイク乗り岩城滉一演じる岩城滉一が、そのカリスマ性、男の魅力ゆえにたくさん子分がついてきて、男からの嫉妬や女の愛情でトラブルに巻き込まれていく、というもの。

岩城晃一と松平純子(この作品で初ヌード)がバイクから降りて草むらでまぐわうシーンがあるが、似たような場面が本宮ひろしの「俺の空」であったなぁ、と思いだしたりした。

千葉真一もバイプレイヤーとして出演している。藍とも子演じるみちこの兄として。しかし、暴走族の抗争にまきこまれまさかの爆死。

後半の暴走族の軍団同士のバトルは、まるで中世の馬に乗った騎士の戦いのバイク版とも言えるようなものすごい光景。

全国から本当の暴走族たちが集まる映像が差し込まれている。蛮牌殺、網走連合、行田連合、ジェロニモ、鼠小僧、名古屋エムペラー、などなど。70年代の暴走族ドキュメンタリーな感じもある。

シンクロナイズドスイミングでダイブする時みたいな、やばい姿勢でバイクに乗っていたりして、よく事故らなかったなと感心する。今では絶対に許可が下りないであろう撮影に胸が熱くなる。

狂い咲きサンダーロード (1980)

監督: 石井 聰亙
脚本: 石井 聰亙
主演: 山田辰夫、小林稔侍、

すべての爆走少年に捧ぐ、狂い咲きサンダーロード!
https://www.youtube.com/watch?v=1tYy2WqLDV

山田辰夫扮するジンが走らせるのは、KAWASAKI KH 400


KAWASAKI KH400 走行動画

暴走族のマボロシはつっぱることをやめて、警察と折り合いつけながらみんなに愛されるバイク走りをやろうと解散になるわけだが、マボロシのメンバーでもあるジンはそれが面白くない。とことんつっぱり、走るジン。しかし、結束する暴走族連合に返り討ちにあってしまう。

小林稔侍率いる「スーパー右翼団体」に救われ、スーパー右翼団体に入るも、全然面白くないし、胡散臭い。いやになって飛び出すジン。しかしそれは、ジンがまた狙われることを意味していた。

案の定半殺しにあい、バイクを乗るのに必要な手とアクセルを踏む足をチェーンソーでぶった切られてしまう。まさに、「去勢」されてしまう。

しかし、おさまりがつかないジンは街を彷徨う。虚ろな目でヤクに溺れながらバイク乗ることを夢想する。はきだめのようなどドヤ街で出会ったとっつぁん坊やに紹介された堕落したマッドサイエンティストに魔改造武装を施されるジン。去勢されてたまるか、とことんやってやるぜ!とスーパー右翼団体との戦争に突入していくが…

去勢されてたまるか!というパンク魂が満ち満ちた大傑作!

湘南 暴走族 (1987)

監督:山田大樹
脚本:山田大樹(原作、吉田聡)
主演:江口洋介、織田裕二、村沢寿彦、我王銀次、清水美砂、杉浦幸、翔、加藤麻里、竹内力

江口洋介が映画の中で乗りまわしているのは、カスタムペイントのSUZUKI GS400。
織田裕二は、赤いHONDA CB400T HAWK Ⅱ 。


SUZUKI GS400


HONDA CB400T HAWKⅡ


織田裕二が歌うテーマソング

バイク映画であり青春映画であり、江口洋介や織田裕二、そしてまだ青さの面影の残る竹内力の勇姿を堪能することができる貴重な映像記録でもある。また、マンガ原作であり、奇天烈な髪形やセリフ回しの世界観が再現された珍作。「やんぴこんぴ」という謎のフレーズが多用される。原作漫画でよく出てきたフレーズらしい。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q149542569
心温まる「やんぴこんぴ」を巡るやりとり

江口洋介をリーダーとし織田裕二らがメンバーの五人組、湘南爆走族はただバイクを走らせるのが好きで楽しくやっている。ちなみに江口洋介は手芸部の部長でもある。手芸部の清水美砂演じる眼鏡の文系美女津山さんからもっと手芸部に本腰を入れてちょうだいと言われている。

しかし、横浜の御伽という暴走族から目を付けられる。御伽を仕切っているのは若き日の竹内力。昔ながらの、誰がその地域で一番か、ということにこだわる男。加藤麻里演じるその妹はそんな兄を案じている。

湘南爆走族でも腕っ節は一番のアキラを演じる織田裕二。変な色の髪の毛にウエストポーチという出で立ちの織田裕二。1987年でもこれはダサかったのではないか。杉浦幸演じる民子のことが好きで、民子と一緒にいた男をボコボコにしたら、なんとそいつは横浜の御伽のメンバーと判明。湘南爆走族と御伽との抗争へと発展していく。

抗争は泥沼化し、大将同士の一騎打ちとなる。江口洋介と竹内力の「目隠しをしてどこまでバイクでカベに近づけるか」という度胸試し対決。バイク/車が出てくる映画におなじみの度胸試しの展開。ジェームズディーンの理由なき反抗のチキンレースが有名。爆発!暴走族(1975)
でも夏夕介と岩城滉一が似たようなバトルしていた。


理由なき反抗の有名なチキンレース

70年代に量産されたバイク映画であるが、80年代末の1987年にもなると、やはりこれだけコミカルになってしまう。時代は変わる。

以上、バイクが印象的な70~80年代の日本映画を5つ選んだ。映画というのはその時代の風俗、流行を知る打ってつけのメディアである。古き良きバイクの世界を、これらの映画を通して堪能してほしい。

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映画、音楽、本のことを中心に、役に立つかどうか度外視して書きたいこと書こうと思っています。サブカルなイベントもよく行くので、そのレポートみたいなことも書くかもしれません。