ブログで展開する、映画で英語学習の試み〜アバウト・シュミット(2003)〜

作品情報

アバウト・シュミット/ About Schmidt (2003)
監督:アレキサンダ・ペイン
脚本:アレキサンダ・ペイン、ジェームズ・テイラー
主演:ジャック・ニコルソン、ホープ・デイビス

ジャック・ニコルソン演じるウォーレン・シュミットが保険会社を定年退職、その後の彼のうだつのあがらない日々を、アメリカ郊外の中流の悲哀を語る名手であるアレキサンダ・ペインがブラックユーモアたっぷりに描く。

とにかく、ウォーレン・シュミットに発せられる周囲の人々の言葉の全てが上滑りで白々しくて浅薄で噛み合わない。ジャック・ニコルソンは終始、呆れ顔、虚しさの表情を浮かべている。様々なズレた人間が出てくるが、娘が結婚相手として連れてきた男の残念感が秀逸。絶妙なキモさとバカさを体現している。

退職後に自分の人生の虚しさを感じていく様を描くのはイングマール・ベルイマンの野イチゴ(1957)を想起させる。無駄にでかいキャンピングカーに乗って、ひょんなことから思わず人生の思い出の地を巡る旅に出る滑稽さと、郷愁たっぷりに生まれ育った家があった場所を訪ねたらそこがタイヤ屋になっていたという悲しくも可笑しい顛末。

誰にも自分の言葉は届かない。人生を振り返ると、なにか意味があったのかとすら思う。それでも、誠実な自己開示、言葉は必ず誰かに届き、繋がりになる。仄かであるけれども、そんな希望の明かりが灯されて映画は終わる。それは、ボンクラな日々を送る我々の淀んだ日々を照らす明かりでもある。

以下は、この映画の中のワンシーンを抜粋したものになる。


ジャック・ニコルソン演じるウォーレンと、ホープ・デイビス演じる娘のジーニーの会話シーン。妻が急に亡くなってしまった上に娘の結婚式も迫っているドタバタの中、娘の婚約相手のランドールのそのキモさとバカさがやはりどうしても我慢ならないウォーレンが、娘のジーニーに結婚を考え直すように説得を試みている場面。

このワンシーンを活用して、英語学習が可能である。

以下、学習TASKの手順である。
①ワンシーンをまずは日本語字幕を追いながら観てみる(0:06秒から) 。
②英語スクリプトを黙読しながら音を聴いてみる(0:06秒から)。語句リスト、ネット辞書などを適宜活用し英語の意味の理解に努める。
③英語スクリプトを音読してみる。
④ワンシーンを、役者の発音、感情の込め方、間の取り方を意識しながら観てみる。
⑤英語スクリプトをみながら、発音、感情の込め方、間の取り方を真似して、音読してみる。

≪英語スクリプト≫
Warren (W): Now that you mentioned it, honey. I think you should consider (1) postponing it.
Jeanie (J): Postponing the wedding? We can’t do that. (2)It’s all set.
W: I’m just saying, you might wanna take this opportunity… to rethink things. That’s all.
J: But everyone is invited, and (3)RSVP’d and everything.”
W: They’d understand. (4)Out of respect for you, your mother. She would have approved.
J: Mom wouldn’t want us to change anything.
W: The thing is, Jennie, your mother and I, we spoke (5)a number of times very seriously about you and Randal.
J: And what did she say?
W: Just, just that she loved you and she wanted you to be very happy and the things with Randal, well we both just wanted to make sure that you won’t have any regrets, so, so you might wanna keep your options open.
J: But she helped us pick the date. And, I was on the phone with her almost every day planning it and ordering things. I really don’t know what you are talking about. I don’t think Mom want us to change at all.
W: All right, all right. Okay. (6)Have it your way. You know best, you and your mother. ……Good sandwich.

≪語句リスト≫
(1) postpone: 延期する (2) It’s all set: すべて準備はできている
(3) RSVP: 返事をください。Repondez s’il vous plaitというフランス語の由来の表現の省略語。ここでは、「返事をくださいと案内を出す」意味で動詞的に使われている。
(4) out of respect for: に敬意を払って、配慮して
(5) a number of: たくさんの (the number of(〜の数) との意味の違いに注意)
(6) Have it your way. : 勝手にしろ、好きなようにしろ

≪注意すべき表現≫
Mom wouldn’t want us to change anything.

If 節のない「仮定法」というやつに該当するかと思う。「母さんだったら変えないだろう」という意味になるが、「母さん」=Momという主語に仮定の条件の意味が含まれている。

以下の例文も同じパターン
My guitar teacher would play this guitar solo easily.
(私のギターの先生だったら、このソロを簡単に弾くだろう。)

普通、仮定法の文は「もし〜だったら」の仮定の部分を”If”から始まる副詞節で表しているのだが、ここでの表現のように、仮定の意味の部分を「主語」に与えているものもある。

≪日本語字幕スクリプト≫
ウォーレン(以降ウォ)「話が出たから言うが 延期した方がいいと思うのだが」
ジーニー(以降ジー)「結婚式を延期? ムリよ 手配済みだわ」
ウォ「だが これを機会にできることなら 考え直すべきかと」
ジー「でも もう 大勢の人に招待状を出したのよ」
ウォ「皆わかってくれる 母さんの喪中なんだから 母さんもそう望む」
ジー「ママは予定変更をいやがるわ」
ウォ「実を言うとな 母さんと 何度も話し合ったんだ。お前とランドールのことを」
ジー「で ママは何と?」
ウォ「母さんは愛するお前の幸せを心から願っていた。だからランドールのことで お前が本当に後悔しないか とても心配していた 他にもっとチャンスがあるはずだとな」
ジー「ママと日取りを決めたのよ。そしてほぼ毎日 ママと電話で話して 計画を立て 式のことを決めたのよ。何の話?ママは絶対変更なんか・・・」
ウォ「わかった もういい お前と母さんが決めたようにやれ・・・ うまいサンドウィッチだ」

上記のTASKはシンプルだが、効果的である。TASKなど無視して、ワンシーンを素材として単純なリスニングやシャドウイング、ディクテーションに使用するのもいいかと思う。

映画を語学学習に使うことの利点は様々にあるが、「生の言語、自然な言語」に限りなく近い、ということが一つ挙げられる。もちろん、役者のセリフなので本当に100%自然な発話ではない。しかし、限りなく自然だ。

ついでに、クイック・レスポンス・トレーニングも。

どんなトレーニングかというと、「日本語だけを見て即座に英語の表現が言えるようになるまで頭に叩き込む」というもの。シンプルで効果的。あのキムタツ先生が発案者。

上記のワンシーンで「結婚」の話をしていたので、今回は、テーマ:「結婚式」に関する表現7つ。

TASKは以下のように。
①日本語と英語両方みながら、何度も読んで覚える。
②日本語だけみて、瞬時に英語が出てくるまで何度も読む。

以上。

≪「結婚式」に関する表現7つ≫
①式の日取り決めなきゃね。
We should pick our wedding date.
②結婚披露宴だけ出席します。
I will attend only the wedding reception.
③友人の結婚披露宴の余興を頼まれました。
I was asked to do a performance at my friends’ wedding reception.
④結婚式の2次会は欠席しようかな。
I am considering skipping the wedding after party.
⑤まさか花嫁が披露宴で6回もお色直しするとはね。
I didn’t expect to see the bride change dresses 6 times during the wedding reception.
⑥新郎も新婦も緊張していたね。
Both the bride and the groom looked nervous.
⑦これは人生で最高の結婚式の引き出物です。
This is the best wedding thank-you gift of my life.

≪日本語から瞬時に英語が言えるようにトレーニング≫
①式の日取り決めなきゃね。
②結婚披露宴だけ出席します
③結婚式の余興を任されました。
④結婚式の2次会は欠席しようかな。
⑤まさか花嫁が披露宴で6回もお色直しするとはね。
⑥新郎も新婦も緊張してるね。
⑦これは人生で最高の結婚式の引き出物です。

以上、ブログで展開する映画で英語学習の試みでした。実験的に、映画のこと書くついでに英語のあれこれも書いていこうかという気分。

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