いつの間にか梅雨も明けて、灼熱の夏が到来していた。スカッとぶっ飛ばしたい!そんな気分の時はハーコーなリベンジによる皆殺し映画をみたいものだ。しかも、女性による。キレると一番怖いのは女だ、これ観て思い知れ!
やさぐれ姐御伝 総括リンチ(1973)
監督:石井輝男
脚本:掛札正弘、石井輝男、関本郁夫
出演:池玲子、愛川まこと、栗はるみ
「石井輝男先生、総括リンチとはなんですか?」
そんな問いへの清々しい回答がこの作品の中にある。
フォトジェニックな池玲子。 そして、出てくる女の人ほぼ全員がトップレスになる。「やさぐれ姐御伝」というタイトルだが、池玲子はそんなにやさぐれてない。男をハニートラップしては、「馬鹿だね、演技だよ」とかますわけだからね。
最後の総括リンチのシーンは、まるで特撮ヒーローものの決闘シーンのようなカタルシス。
女たちが仮面ライダーのごとく、ショッカーの戦闘員のような男たちをなぎ倒していくのだ。
セクシーでありながらも、男の慰みものにはならない強い女性が描かれている。男女問わず楽しめる爽快リベンジドラマ。
夏はやっぱり、石井輝男!
修羅雪姫(1973)
監督:藤田敏八
脚本:長田紀夫、(小池一夫原作、上村一夫作画の漫画が原作)
出演:梶芽衣子、黒沢年男
惨殺された夫の恨みをはらす宿命を背負わされて監獄で生まれた女、修羅雪姫。罪を犯したのをなかったことにして今はのうのうと生きる悪人へ、鍛え抜かれた剣術を駆使して梶芽衣子演じる修羅雪が天誅を下す。
復讐にはじまり復讐におわる物語。身体のパーツがポンポン飛び散る。タランティーノが影響受けているというのも頷ける。
鮮血と雪の、赤と白のコントラストが強烈。梶芽衣子の端正なブチ切れフェイスと鮮血と降りしきる雪の合わせ技で100億点。
追い詰められた罪人が「許してくれ、助けてくれ」と助けを乞うても、「許しもしないし助けもしない」と赤子も黙るキレ顔で言ってのけ、躊躇なく天誅くだす梶芽衣子。震える。
映画の中で梶芽衣子は一度も笑わない。映画を観てるあなたも、ヘラヘラしてるとぶった切られるよ。
悪女 (2017)
監督:チョン・ビョンギル
脚本:チョン・ビョンギル(製作、アクション監修も)
出演:キム・オクビン、シン・ハジュン、ソンジュン、キム・ソヒョン
血なまぐさい日々から逃れられない女の、全てぶちのめす戦慄のリベンジ! 梶芽衣子がキレ顔の極致なら、こちらは返り血浴びて狂気の高笑い。
キムオクビン演じるスクヒは父を殺され、自分自身も殺されそうになりながら、しかし協力者のおじさんに殺し屋として鍛え上げられ、結婚までする。しかし、ハネムーンの最中にそのおじさんはぶち殺される。復讐のため、おじさんを殺したと思われる組織にたったひとりで立ち向かうスクヒであったが…
いきなり冒頭から始まる主観でのアクションシークエンスが圧巻。韓国ノワールアクションって蹴りやパンチの一発ごとが重く、凶器も一撃では死なないけど痛さだけは凄そうな鈍器が多くてアクションに重みがあってすごくいいのだが、この悪女ではそれに加えてキムオクビンのスタイリッシュな肢体と動きで、重くて軽やか、まさにロック&ロールなかっこよさ!
また、アクションとしての魅力、楽しさありながら、ストーリーがしっかりしていて、主人公に葛藤があるから、全てにカタをつけるリベンジのシーンでのカタルシスが半端ない。
キングスマン的なスパイの水中訓練を、より鬼畜にしたバージョンな訓練シーンも印象的。あと、縄で首絞めて、高いとこからバーンと飛び降りて決めポーズって展開、アトミックブロンドでもあったが、昨今の女アクションの定番か。最高なのでどんどんやってほしい。
この映画は2018年上半期観た中でもトップ5には入る名作。監督、脚本、製作、アクション監修務めたチョン・ビョンギル、逸材!
以上、梅雨明けにガツっとぶちかましたい、女主人公リベンジ皆殺し映画3選でした。
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