やはり秋になると、なにかうら寂しい気がしてくる。寂しいのに、なぜか一人になりたくなる。そして、そういう時、私はジャズを聴きたくなる。
Apple Musicで聴ける秋に似合うジャズを5曲選んでみた。
Dream Gypsy ~アルバム「Undercurrent」より 演奏Bill Evans Jim Hall~
ピアニストBill Evans とギタリストJim Hallの1962年のアルバム「Undercurrent」に収録されている1曲。Evansの揺らぐようなワルツのイントロが、異界への妖しさを漂わせるなか、Jimがギターの音をそっと置いていく。まさにギターとピアノの対話。水墨画のようなアルバムという評価があるが、まさにその通り、黒と白の世界。アルバムジャケットも秀逸。
Luiza ~アルバム「Cure Jazz」より 演奏UA 菊地成孔~
ボサノバの開祖アントニオ・カルロス・ジョビンの後期の佳作Luizaを菊地成孔が自らボーカルをとっている。菊地の不安定なボーカルが、なにか退廃的な雰囲気を醸し出し、秋の夜長に聴くと、浸れること間違いなしである。
Skating in Central Park ~アルバム「live at the north sea jazz festival 1979」より 演奏 Jim Hall Bob Brookmeyer ~
トロンボーン奏者Brookmeyerとのデュオ演奏をするJim hall であるが、前出のDream Gypsy でもわかるように、Jimはデュオが本当にうまい。秋という空気の澄みきった季節には、音数が少ないデュオがふさわしい。
ギターという楽器は、ピアノと比べ楽器としての演奏能力に制限が多くあるが、その制限、音数の少なさを逆に自分のキャラクターに生かしているのが、Jimである。秋の夕方、金木犀のにおいのする縁側とかで聴けたら、最高の曲。Jimのオリジナル楽曲の中で最も好きな曲だ。
Looking Up ~アルバム「the best of michel petrucciani」より 演奏 michel petrucciani~
フランスの天才ピアニストmichel petruccianiのオリジナル楽曲で最も有名な曲だろう。先天性の障害で身長が1mちょっとしかなかったpetruccianiだが、36歳で亡くなるまで、本当に生き切った。世界的なピアニストになり、結婚もし、子どもも生まれ、凡人の何倍もの濃い人生だった。しかし、やはりくじけそうになったこともあっただろう。その時、自分に言い聞かせたに違いない。Looking Up と。
petruccianiのことを考えると少し切なく、そしてとても前向きになれる曲だ。少し肌寒い秋の朝に自転車でも漕ぎながら聴きたい。
青春の光と影 ~ アルバム「Voyage」 演奏 Ann Sally ~
秋は夏のあとに来る季節だ。暑い夏のあと、喪失感を感じさせる秋が好きだ。夏も青春も限りあるものだから、はかないのだと思う。
joni mitchellの名曲「Both side now」を、Annは淡々と歌う。夏は来年もめぐってくるだろうし、青春もたぶんどこかで続いていく。だから、淡々と歌うぐらいでちょうどいい。
□apple music
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