2018年に初めて観た映画 10選

どうしよう! 2019年になった!

しかし、1月いっぱいはまだ前の年の気分引きずってるものだ。
そんなにパッと切り替えられないものだ。

2018年に封切りではないが、2018年に初めてみた映画で、よかったものがたくさんある。

そのなかから特に思い入れが深いものを10本選んだ。

■水のないプール(1982)

監督: 若松孝二
脚本: 若松孝二
出演: 内田裕也、中村れいこ、MIE、タモリ、赤塚不二夫、原田芳雄

はっきり言って、問題作。反社会的、反モラル的なストーリー! しかし、めっぽう面白い。内田裕也の醸し出す異様な佇まいが脳裏に焼きつく!

つつましく暮らす、内田裕也演じる地下鉄の改札の切符のもぎりが仕事の男が、レイプされかけていた女性を助ける。その女性に恩着せて手を出すというわけではなかったが、肉欲が男を駆り立てていく…

都市生活の孤独と悲哀。男には家庭があり、子どもと妻がいるが、しかし、どうしようもなく退屈で孤独な模様。レイプされた女性を助けた際の交流が、男のなにかを狂わせた。

息子の虫取りの昆虫採取からヒントを得ての、クロロホルムで眠らせてのレイプ。挿入するが、ちゃんとゴム付ける。ひとりで暮らす女の子に朝ごはんを用意したり、部屋を掃除してあげたり、洗濯してあげたりして、目を覚ます前に去る。

この映画で描かれる男の一見サイコな行動に、日常の私たちと地続きのなにかに想いを馳せる時、野生的な、本能的な、変態的な衝動は自分の中にもあることを知らされる。

女は、警察への届けを取り下げた。男の行為を世間常識に照らし合わせ断罪するのはあまりに簡単でつまらない。この映画を反社会的だと切り捨てるのも、あまりにつまらない。

■A Better Tomorrow/ 男たちの挽歌(1986)

監督:ジョン・ウー
脚本: ジョン・ウー
出演: チョウ・ユンファ、レスリー・チャン、ティ・ロン

男のロマン汁がしみだしている映画。

男として大切なことは全てこの映画に詰まっているとでも言ってしまいたくなるほどの男のロマンアクション。

極道の道を行く兄ホーと警官の弟のキッドの兄弟の一筋縄ではいかない関係。そして、極道の道でかつては栄華を極めたホーとマークの男の友情。仁義なき世界で、”兄弟”愛とは何かを、マークの二丁持ちサブマシンガンの銃弾が叩きつける!

チョウ・ユンファ演じるマークに拳銃を向けてはいけない。 マークには、昔、極道の仕事の中でピンチに陥り、銃を突きつけられ、小便を飲まされた屈辱があるからだ!

男たちの挽歌 2、3はまたそれぞれ面白いらしいから、2019年は絶対観る。

■暴行切り裂きジャック(1976)

監督: 長谷部安春
脚本: 桂千穂
出演: 桂たまき、林ゆたか、山科ゆり
音楽:月見里太一 撮影:森勝

これもまた、パワフルな問題作。

シリアルキラーを描いたロマンポルノの異色作。人を殺してからするセックスの快楽が、やがて殺しそのものの快楽、衝動に変わっていく!

おしゃれ目なケーキ屋で働く冴えない男と、同じくケーキ屋で働く欲求不満な女。女の言われるがまま、冴えない男は一緒に車で帰るんだけど、そのみちすがら、やべー女登場。

不敵な笑みを浮かべ続け、雨の中びしょ濡れ。車に乗せてあげたはいいものの、積んであったケーキナイフで自分の腕切って、「驚くことないわ、どこからでも血が出るのよ、あたなもためしてみます?」だなんて!

その後、二人はそのヤベー女を殺してしまうが、その直後のセックスが、やたらと燃えてしまい、男と女は深い関係に。その快楽がクセになり、またその快楽を求めて2人は次のターゲットを探していく…

殺しの場面、陰惨な場面でメロウで優しい、ボサノバっぽい音楽が流れる。殺しとメロウな音楽の醸し出す、反社会的ムード。

セックスという逸脱行為、殺人という逸脱行為。日常の社会性の外側にあるスリリングなものに手を伸ばし、その快楽にとりつかれれ社会の外側から戻れなくなるその姿は、人間の業そのものか。

■の ようなもの(1981)

監督: 森田芳光
脚本: 森田芳光
出演: でんでん、秋吉久美子、伊藤克信、尾藤いさお、

新文芸坐の森田芳光特集上映にて鑑賞。

ゴダール的実験性とアイビーファッションの若手落語家たちの群像劇。

尾藤いさおが歌い、森田芳光作詞、浜田金吾作曲の主題歌、シーユーアゲインがこれまた、良い!

なにかが起こって、なにかが決定的に変わるストーリーではない。まだ何者でもない若者同士の、出会いと別れ。

まだ何者でもない若者たちの青春群像劇は最高。加えて、この作品は森田芳光監督の実験性や遊びが随所に見られ、最高なのだ。

伊藤克信演じる志ん魚が、夜中、歩いて堀切から浅草まで帰るシーン。すっごい好きで、何度も反芻してしまうし、無駄に普段から飲んだ後とか夜道を歩いて帰って、このシーンを思い出したりする。

■(ハル) (1996)

監督: 森田芳光
脚本: 森田芳光
出演: 深津絵里、山崎直子、戸田菜穂、内野聖陽、宮沢和史

電子メールの黎明期。映画フォーラムというコミュニティでのサイバー空間での匿名のやり取りから、徐々に関係を深めていく男女の話。

精神的な結びつき。男女のそれは、どのように生まれ、どのように発展していくのか。エドワードホッパーのナイトホークス的な、光あるところに集まる孤独な他者というモチーフとともに描かれる他人から他人ではなくなる関係性の発展の様子が、心の孤独に響く!

日本人は字幕を読むのが好きだから、文字をメインで会話を進行させよう!という斬新な映画的表現により、よりパーソナルで小説的な印象。

電子メールのやりとりで進むという小説的な印象の話運びでありながら、しかし、まさに映画的カタルシスの極みのようなエンディング! その後に流れるThe BOOMのTOKYO LOVEがたまらん。

現代なら主にLINEで行われる、電子メール的なテキストでのやりとりにまつわる感情のゆらぎは、2018年でこそ、より一層、共感できるし、理解ができる。

そして、深津絵里が本当に、息が止まるかと思うほど美しい。派手な美しさではなく、地方都市ともよくマッチする、実際にはいないんだけども、いそうな、いてくれたらすごく嬉しい、日常の延長に存在する夢そのもののような美しさ。

■赤い鳥 逃げた

監督: 藤田敏八 助監督 長谷川和彦
脚本: 藤田敏八、ジェームズ三木、
出演: 原田芳雄、大門まさあき、桃井かおり、地井武男

退廃と情熱の映画史、という神保町シアターでの特集上映で観た作品。

70年代の熱狂のあとの白け、くすぶり、無軌道な退廃の空気がたまらん。

自由をもとめてのらりくらりと暮らしてる2人組の大門まさあき演じるタクロウと、原田芳雄演じるヒロシ。そして、桃井かおり演じる家出娘のマコ。男二人と女一人。彼らを中心に展開される、苛立ちと、反骨と、やるせなさの日々。

社会にとりこまれたくない、社会になじめない気分を抱えたアウトローな若者たちと、それの対比としての社会に順応して、社会そのものである体制、警察、金持ち。

体制側に勝ち目はないが、退屈に生きるくらいなら死を選ぶ。アメリカンニューシネマ的な、車に閉じこもり、車炎上のクライマックスのインパクトたるや!

■ジョンとメリー/ John and Mary(1969)

監督:ピーターイェーツ
脚本:ジョン モーティマー
出演: ダスティンホフマン、ミアファロウ

金曜の夜、ニューヨークの街角、バーでの男女(ダスティンホフマンとミアファロウ)の出会いから一夜の関係。翌朝、都会でありふれた男女のそれのようにながれていく関係に思えた。

しかし、やっぱり帰ろう、いや残ろう、やっぱりうまくいかない、いや特別な気がする。そんな駆け引き、逡巡を経て、二人が、なにか確かそうに思える関係のはじまりに行き着く。

どこかにありそうで、なさそうな、都会のロマンスの語り口が斬新! ダスティンホフマンとミアファロウの心の声が聞こえながら進んでいく様が、男女の本音をチラホラさせ、一筋縄ではいかない仕上がりとなっている。

泡のようにすぐ消え、指先からこぼれ落ちていく都会の男女関係。しかし、そこからなにか意味のある関係が生まれる可能性を描いた物語。

先ほどの(ハル)も、孤独な都会の他者の繋がりの可能性を示した話だったが、こういうタイプの話にグッとくる。

■ハロルドとモード 少年は虹を渡る(1971)

監督: ハルアシュビー
脚本: コリンビギンズ
出演: ルイスゴードン、バドコート

折り目正しく生きることを求める家庭の母親の支配下で暮らすハロルド。ハロルドの結婚相手として、母親が見繕った相手を連れてくるのだが、その退屈さゆえに、ハロルドは自殺に見せかけた行為を繰り返す。冒頭のいきなりの首吊りから、母親がそれを意に介さないシーンの超現実感に面食らう。

意味もなく葬式に出るのが好きなハロルドは、そこでモードと出会う。モードは、車があれば誰のものか関係なく奪って猛スピードでぶっ飛ばすクレイジーな、もう80歳になろうというおばあさん。母親が連れてくる結婚相手に退屈を感じていたハロルドは、規格外のモードの言動に触れていくうちに、惹かれていく。

「モラルに縛られて、人生を誤魔化してはいけない。」というモードのセリフが印象的だ。誰にも心を開かないかに思えたハロルドだったが、モードに心を開いていく。

そのモードの破天荒に思える、自由を求める欲求即行動な様子には、彼女の生い立ちも関係していたことが、さりげなく示される。ドレフェスの悪魔島の話、モードの手首に焼印された番号、モードはユダヤ系。

キャット・スティーブンのレイドバックな音楽が映画全体を心地よく包み込んでいる。

若い男とおばあさんの恋の物語。そう書くと奇天烈な印象だが、モードはとてもキュートで、二人の関係にグロテスクさは微塵もない。むしろ純粋でいて、爽やかな印象。ハロルドとモード、ふたりのつながり、ふたりしか分かり合えない世界がちゃんと伝わる。

人生における大切なことを思わせてくれる、パンクで切ない話。

男と女のマッチングに、年齢は関係ない、心が通じるかどうかだ、という意味での究極を示している。

■私出すわ(2009)

監督: 森田芳光
脚本: 森田芳光
出演: 小雪、ピエール瀧、仲村トオル、山中 崇、小池栄子、小澤征悦、井坂俊哉、黒谷友香

地元函館に帰ってきた、小雪演じるマヤは、かつてのクラスメイトたちに、「お金」を渡して行く。彼らの夢や悩みを聞いて、お金が必要であれば、「私、出すわ」、と。

2008年のリーマンショックの後のムード。現在まで続く資本主義の末期の、なんとも言えない閉塞感が画面から漂う。どことなく不穏な感じ。

お金で狂う人、救われる人。大量のお金が人を狂わせるとして、そこから浮かび上がる働くことの本質とは。人助けでお金。それは成り立つのか。感謝としての金。それが仇となる時とそうではない時を分けるものとは。

ジムジャームッシャ的な、人間と背景が同等である、絵画的な構図が印象に残る。だれか特定の人物に寄りの絵になることがない。

冬、函館、路面電車の景色。都市生活者の孤独。地方都市の孤独。

観た後に残るなんともいえない余韻。あれやこれやの場面を反芻しながら、普段当たり前のように手にして使っているお金は、なんえ不思議で、得体の知れないものだろう、と思う。

■ 昭和 女 博徒 (1972)

監督: 加藤 泰
脚本: 鳥居元宏 、本田達夫 原作 藤原審璽
出演: 江波杏子、松方弘樹、天知茂、水島道太郎、嵐寛寿郎、遠藤辰雄、丘路千、山本麒一

通らない筋は、しっかり通す! それが渡世の世界よ。惚れた男を殺られた女がぶち上げるリベンジドラマ。

クールビューティ江波杏子がドス、鉄砲、カミソリなどを武器に次々とリベンジを果たして行く。その美貌で丘路千を誘い出しての、カミソリ喉元ブバー!は必見。

江波杏子の、キレ顔がこれまた絶品。キレ顔系リベンジ女優。 カッ!と目を見開く顔とかすごくいい。

遠藤辰雄演じる、松方弘樹の使用人のサブちゃんがまたいい味だしている。天知茂も、味のあるいい役で出ている。豪華で味のあるフェイスの演者陣はこの作品の魅力。

仁義ない裏切りにまみれた男どもの世界に、江波杏子が鉄槌を下すのだ!

以上、2018年に観た映画で、特に印象に残っているもの10選。

人生はハードだ。

星野源も紅白歌合戦で言っていたが、人生は、基本的につらい。

映画は人生を楽しくする。少しでも、マシな日々になる。

2019年もたくさんの映画を観ていきたい。

 

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