アナ・ケンドリックのコメディエンヌとしての魅力が爆発。ウーマンスノワールコメディ。シンプルフェイバー(原題:A Smple Favor) を観てきたぞ。その感想。

春だ。

しみけんとはぁちゅうの夫婦のおめでたのニュースも飛び込んできた。

しみけんも最高だが、アナケンも最高だ。

アナケンとは、アナ・ケンドリックのこと。33歳。星野みちると同い年だ。

アナケンが、ブレイクライブリーとダブル主演で新作映画をやってるって。

監督は、あのポール・フェイグというではないか。

それ、どんなもんかということで、へっこらよっこらとみてきたぞ。

◆スタッフ、基本的な情報

監督は、ブライズメイズ、デンジャラスバディ(原題The HEAT)、リブートでのゴーストバスターズ(2016)などを手がけてきたポールフェイグ。ダーシーベルによる「ささやかな頼み」を原作として、ジェシカ・シャーザーという人が脚本を担当。マイレージマイライフ、ザ・コンサルタント、ピッチパーフェクト シリーズなどのアナ・ケンドリック、ゴシップガールズ、ウディアレンのカフェソサエティなどに出たブレイク・ライブリー、クレイジーリッチでの大抜擢が記憶に新しいヘンリー・ゴールディングらが出演。

◆あらすじ

アナ・ケンドリック演じるステファニーは、夫を交通事故で亡くしたためにシングルマザーで、郊外に住み子どもを学校に通わせ、ママ友たちと交流する動画ブログ(vlog)を配信している。ある日ステファニーは、それまで交流の機会のなかった、郊外では明らかに浮いているミステリアスなセレブ感、色気を醸し出しているブレイク・ライブリー演じるエミリーと、それぞれの子ども同士が遊んでいることから、交流を持つことになる。エミリーの豪邸に呼ばれ、強めのマティーニを出され、紹介された夫はハンサムな作家。圧倒されるステファニーだが、なんとか話を合わせ、交流を深めようと努め過ごす。ある日、ステファニーはエミリーから、仕事でしばらく留守にするため、子どものニッキーを預かってほしいと頼まれる。しかし、待てど暮らせど、エミリーは戻ってこない。 いったいエミリーはどこへ消えてしまったのか…。

◆ミステリアスで男性的装いの女性の色気、ブレイク・ライブリー

そのパーフェクトなルックスの説得力に加えて、フォーマルでリッチで色気のあるスーツの着こなしがかっこよくて美しいブレイク・ライブリー演じるエミリー。ステファニーを家に招き、強烈に濃いマティーニをふるまい、自分もそれを一気飲みする。家に、自分の陰部がフィーチャーされた絵を飾っている。

率直な物言い、型破りな行動で、ステファニーをやばい方向へとどんどん誘っていくエミリー。夫のヘンリーゴールディング演じるショーンも、ただただ翻弄される。このエミリーのキャラクターから思い浮かんだのは、ディビッドフィンチャーのゴーン・ガールのエイミー。夫のショーンを誘うキラーフレーズ「トイレで待ってる」は破壊力抜群だ。

すでにエミリーだけで、かなり強力なパンチのあるキャラクターではある。

◆コメディエンヌ、アナケン

しかし、エミリーに輪をかけて、印象に残るのは、アナ・ケンドリック演じるステファニーだ。言ってしまえば今作は、素晴らしい「アナケンドリック映画」でもある。天然であり、計算であり、色気があり、なんとも形容しがたい魅力のそのキャラクター。マイレージマイライフの時からその素質を垣間見せていたアナ・ケンドリック、つまりアナケンの、コメディエンヌとしての魅力が花開いた作品と言える。

エミリー失踪後、私立探偵めいたことをして、エミリーのとある秘密を暴いた後、「してやったぜ!」といった具合に盛り上がり、車中でステファニーがハイテンションでぶちあげる、とあるHIP HOPアンセム。劇場でも笑いが起きていた。最高のシーン。

◆一線を超える瞬間が一番エロい

今作、アナケンが、なんともいえないエロスを仄めかしている。いままでの映画でのアナケンからは、あまり感じられなかったものだ。

ステファニーはエミリー失踪後、案の定、残されたエミリーの夫のハンサムな作家のショーンとアレなことになってしまうのだが、そのアレなことになってしまう、一線を超える瞬間のエロいのなんの。

アナケンといえば、優等生的な、学級委員長的な真面目さをベースとして、なんか隙があってユーモアのセンスがあるという具合のキャラクターを演じてきていたわけだが、今作ではそこにエロス、色気が加わって、手に負えないほど魅力的な存在になっている。

◆ポールフェイグ。女性の罵り合い、友情を描く名手。

秀逸な言葉センスに裏打ちされた、女性同士の会話の妙。バイオレントでブラックユーモアあふれる女性同士のやり取りを描く名手、ポール・フェイグ。女性同士のリアルな罵り合い、友情、を映画でみるなら、ポール・フェイグ。デンジャラスバディでも、女性同士の罵り合い、喧嘩、友情を秀逸に描いていた。今作でも健在。

表面上は仲良いんだけど、実はすごいバトルが行われてるみたいな。女性同士の武勇伝トーク、マウントの取り合いを、リアルかつ娯楽性高く描くポール・フェイグ。

◆ウーマンスノワールコメディ。

今作は、エミリーとステファニーのやりとりが楽しい、ブロマンスの女性バージョンのもの、いわゆる「ウーマンス」であり、エミリーの失踪から闇が広がるノワールであり、全体としてはバイオレントでブラックユーモアあふれるコメディな印象。

午後のロードショーは基本的に男汁あふれる映画がセレクトされる傾向にあるが、今作なんか、あえて今、午後ローにぴったりだと思う。吹き替え版も観てみたい。ポール・フェイグの一連の作品群も。

◆トラディショナルなハンサム、ヘンリーゴールディング

クレイジーリッチでも見せたその存在感。トラディショナルなハンサム男、ヘンリー・ゴールディング。

誰もが惚れるハンサムを、ハリウッド映画でアジア系が演じて、ハマっているというのは他になかなかない。田宮二郎や丹波哲郎を思い起こさせる。

◆衣装による内面の表現

今作の衣装デザインを担当した、レネさん (Renee Enrlich Kalfus)。ショコラ(2000)、ドリーム(2017)、ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間(2017)などの映画で衣装を担当してきた人だ。衣装でその人物の内面を語るという、伝統的な衣装演出。今作でも、ステファニーの着ている服がどう変化していくか、エミリーの着ている服のその時々の意味、などに着目すると楽しい。

◆前半のサスペンス、後半の爆発

前半。なんだかミステリアスなエミリー、そしてエミリーの失踪、高まるサスペンス。

しかし、後半の展開、謎解きの部分はあっけない感じ。それよりも、ステファニーとエミリーの全面抗争で引き起こされる爆発的な展開がみどころだと言わんばかり。

石井輝男の恐怖奇形人間(1969)みたいなものだ。謎解きはさっくりと説明して終わり!

◆しゃれた音楽

しゃれた音楽がたくさん使われている映画である。音楽の担当は、セオドア・シャピロ。60年代フランスの音楽中心にスタイリッシュでアイロニックでとにかくしゃれてる。

まず、オープニングで流れる、Jean Paul KellerのCa S’est Arrange。もう、なんか楽しい映画が始まるワクワクを煽る。

そして、エミリーの家に招かれたステファニーが、思わず小躍りをはじめてしまうこの曲。フランソワーズアルディの「さよならを教えて」。

そして、エンディングに流れる、No small children によるLaisse Tomber Les Filles。
もう、この意地悪な感じを残す余韻、最高ですよ。

タランティーノのデスプルーフにも、この曲の別バージョンが使われていた。

使われている曲たちまとめリンク
https://www.google.co.jp/amp/s/www.popsugar.com/entertainment/Simple-Favor-Soundtrack-45252713/amp

◆で、どうなのかこの映画は

さすがバイオレントでブラックユーモアなウーマンスの名手、ポール・フェイグな出来栄え。そしてブレイクライブリーが眼福であり、コメディエンヌとして花開くアナケンドリックの爆風にぶっとばされる快感を味わえる作品。スタイリッシュかつ、骨太な会話劇も堪能できる。午後ローにも出てほしい映画です。

平成が終わってもいいけど、映画館の閉館と値上げは勘弁してほしい。

魂の救済は映画を観る行為の中に。ああ、グッドライフを送りたい。

 

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映画、音楽、本のことを中心に、役に立つかどうか度外視して書きたいこと書こうと思っています。サブカルなイベントもよく行くので、そのレポートみたいなことも書くかもしれません。