「グッド・ライフ・ラボ」は毎週火曜21:30-22:00、TBSラジオで放送されている番組。2018年秋の改変での新番組である。
篠田麻里子が所長、助手の宇垣美里アナウンサー、所員の占い芸人がアポロン山崎といった体裁で、ゲストを呼んでその人のライフスタイルについて根掘り葉掘り聞いていく番組。radikoのタイムフリー機能をつかえば火曜に聴けなくてもいつでも快適リスニング。
「ここはよりよい暮らしを追求するgood life labo。人望熱き所長の麻里子。有能な助手の宇垣。占い上手の所員アポロンが日々研究に取り組んでいます。豊かな未来へ繋がるgood lifeを極めるために、今日も探求は続くのです」と、いい声のナレーターが番組の趣旨を説明。
今回のゲストは、かもめんたる、岩崎う大と槙尾ユウスケ。
◆岩崎「僕らキングオブコント優勝して、その後、バラエティ番組に、はまらなかったんですよ。」
篠田「私と槙尾さんは、今度舞台一緒に。アンフェアな月のシリーズ、殺してもいい命、でご一緒させていただくんですけど、まだ顔合わせしてなくて、今日初顔合わせで」
槙尾「よろしくお願いします。」
宇垣「麻里子さんがゆきひらなつみの役で、槙尾さんは?」
槙尾「ぼくは、カメラマンの役なんですけど。永井っていう役で。ちょっと気持ち悪い、ストーカーみたいな役で。」
篠田「そんなわけで、プロフィールお願いします。」
宇垣「岩崎さんは1978年生まれ、東京都出身、そして槙尾さんは1980年生まれ、広島県の出身です。お二人とも早稲田大学を卒業し、2007年、かもめんたるを結成。2013年にはキングオフコントで優勝。劇団かもめんたるを主催し、定期的に公演をされています。」
篠田「けっこう下北沢に舞台を観に行くことが多くて。チラシで何度かみました。」
岩崎「見にきてくださいよ」
槙尾「でもちょうどこのアンフェアな月の直前に、僕ら舞台やってるんですよ。赤坂で。」
篠田「めちゃくちゃ忙しい。」
宇垣「こちら、宇宙人はくらげが嫌い。」
アポ「すごいメンバーですね。」
槙尾「そうなんですよ。八嶋智人さんが出てくれたり。」
篠田「演出は?」
岩崎「私がやってまして。これ、5年くらい前にはじめて、7回目で。年に2回くらい最近はやってまして。というのも、僕らキングオブコント優勝して、その後、バラエティ番組に、はまらなかったんですよ。」
篠田「コントからバラエティって難しいですよね。」
岩崎「コントって、自分じゃないもの演じてますから。バラエティって、自分じゃないですか。それは聞いてないよ!っていう。そんな折に、カンニングの竹山さん、同じ事務所なんですけど、その誕生日会で、う大、劇団作ればいいじゃん、って言われて。まったくそんな考えなかったんですよ。めんどくさいこと言われたなって。でも、逆に、竹山さんから言われたってことにすればマネージャーも動くし、一回やってみようと思って。それでだめだったらやめようと思って。で、一回やったらおもしろくて。で、そんなはじまりからはじまったものが、八嶋智人さんが出てくれるという」
篠田「そこはどういうつながりで?」
岩崎「二回ほど前にやった舞台を、八嶋智人さんが、知り合いが出てるってことで見にきてくれたんですよ。そしたら、出たい、って言ってくれて。出してください、って。打ち上げでそういう話になって。そういう話から、でもなかなかスケジュール合わなくて、5月ならいけるってことで、そこにスケジュール合わせて、八嶋シフトで。無理やり組んで。」
篠田「八嶋さんがやる前提でつくったということですね。」
岩崎「プレッシャー半端ないですよ。最初、手紙のプロット書くんですけど、八嶋、だけ書いて、ぐしゃぐしゃ、って、ゴミ箱いっぱいになるくらい。イメージは浮かぶんですけど、なにかを乗せたいと思って。」
槙尾「八嶋さんもこんな役はやったことないって」
篠田「ざっくり、どんな役なんですか?」
岩崎「あっぱれちびメガネっていう」
篠田「題名からいうと、コメディなのかな?」
岩崎「コメディですね。コントでは描かない感情の部分も、演劇なんで、多少入れてる、でも全体はコメディですね。」
◆即興って、その瞬間に集中しないとできないんですよ。前のこと考えてたりとか、この先どうしよう、とかじゃなくて、いまその瞬間の起こったことを受け入れながらやんないといけないんで。でも、台本縛りでもそれが本当は大事じゃないですか。なんかその瞬間のセリフをほんとに生きなきゃいけない。そういうのにつながったりとか。
篠田「槙尾さんは、即興演技も」
槙尾「そうですね、即興芝居をしたりしてます。インプロ、っていうんですけど。海外では役者の演技力向上のために用いられるテクニックらしくて。日本ではあまり即興っていうと、そこまでやってないと思うんですけど。」
宇垣「どういったものなんですか」
槙尾「台本なくて、内容ない中で、お客さんからお題やお話をもらって、その場でつくっていきます。」
篠田「わたし、ニューヨークでみにいきました。」
槙尾「あ、ニューヨークでやってますよね、インプロショー。ロビンウィリアムスさんなんかも、即興出身の役者さんだったりしますね。」
篠田「ニューヨークでみた時も、すごいなぁ、って思いましたね。そん時は、なんか箱から出して、例えば豚だったら、そっからお客さんがいろいろ言っていくんですよ。それにあわせて、どんどん変えていく。」
槙尾「そうそう、スピットファイヤーって言ってね。お芝居やってるんですけど、いろんな単語出てくるから、その単語を入れてやんないといけないっていう。」
篠田「あれって、自分の引き出しがないと、戸惑ってしまいますよね」
槙尾「それもありますよね。」
篠田「経験が、だいぶ出る。」
岩崎「でもハードルがだいぶさがるんで、笑いとりやすいんですよ」
槙尾「ちょっとだけやってみます?ぼく、即興ワークショップとかもやってて、はじめたての人にやってもらう簡単なゲームがあるんですけど。例えばこの箱の中に、50音、その濁音などが1文字ずつ描かれた紙が入ってるんですけど、それを引いたら、その音がはいっている言葉しかしゃべっちゃいけないっていう。例えば、つ、だったら、つらいことがあったんですか、って、つぎ、へ、だったら、へんなひとがいっぱいいるんですよ、って。つぎやってもらっていいですか。」
アポ「べ。 ベロ出してたんですよ、」
篠田「ひ。暇ですねぇ、」
岩崎「さ。 さ、やめましょう。」
アポ 「しっかり落ちた! さすが!」
槙尾「例えばこういう風にストーリーを作っていったりとか」
アポ「楽しいな」
槙尾「これやりながら、演劇でも活かせるっていうか。お芝居やるときって、その瞬間その舞台でその人物にならなきゃいけないけど、台本芝居やってると、もう、こういうセリフ言うってのわかってるから、別のこと考えたりとか、この人こういったらこう言おうとか、その瞬間に入れなかったりするんですけど、即興って、その瞬間に集中しないとできないんですよ。前のこと考えてたりとか、この先どうしよう、とかじゃなくて、いまその瞬間の起こったことを受け入れながらやんないといけないんで。でも、台本縛りでもそれが本当は大事じゃないですか。なんかその瞬間のセリフをほんとに生きなきゃいけない。そういうのにつながったりとか。」
篠田「しかも舞台って、毎日同じ脚本やるから、けっこう慣れてきちゃう。」
槙尾「そうなんですそうなんです」
篠田「反応とかも」
槙尾「常に新鮮じゃなきゃいけないんで。即興だと、常に新鮮にならざるをえないというか。」
◆槙尾「相手に、光をあてるように心がけてると、コミュニケーション上手く行く。」
篠田「おもしろい、即興芝居。日本であまりないですよね。ワークショップもやられてるという。」
槙尾「最近はちょっとずつ、インプロ人口も増えてるみたいで、企業研修だったり、学校でも取り入れられたり。普段のコミュニケーションもいったら即興じゃないですか。社交スキルを磨きたいって人も多くて、それも即興で磨けるというか。」
篠田「磨けますか。これ聴いてる人でも、なかなか上手にしゃべれないって人も。でも、私もそうですけど、人見知りだったりすると、どうやってコミュニケーションとったらいいのかわかんないって時ありますけどね。」
槙尾「まず、相手を受け入れるっていうのがインプロではすごく大事だって言われてて」
宇垣「相手を受け入れる」
槙尾「相手を受け入れるってことは、自分を開放するってことなんですけど、まずどんなことでも、あ、そうですね、いいですね、って言うように努力してみるとか。何だかんだ人って、いやー、とか、えー、とか否定しがちなんですよね。でもインプロの精神というのは、なんでも受け入れるいっていう」
岩崎「もう少し笑いを入れろ!」
槙尾「ちょっと真面目な話になってしまいましたけど」
岩崎「しばらく待ってたけど!」
篠田「わはは! なるほどと思いながら聞いてましたけど」
槙尾「あと、相手を立てる、っていうのもあって。自分の言いたいことを言うんじゃなくて。いま結構自分の言いたいこと言っちゃってますけど。相手に、光をあてるように心がけてると、コミュニケーション上手く行く。」
宇垣「たしかに。普段に活かせそうですね。」
篠田「でも、受け入れるって、相手も受け入れてたら、お互いしゃべらないですよね」
アポ「でも槙尾さんのきた感じのスタンスって、受け入れてくれてる感じしません?」
槙尾「実は、会話の時も、相手の最初の状態を受け入れて投げかけるっていうのが、実は最初の受け入れなんですよ。いま話しかけて大丈夫かな、とか、どういう感じで、どういう話題を振ろうかな、というのも、ちゃんと相手をみて….」
岩崎「いい加減にしろ!」
一同「わはは!」
槙尾「ちょっと、相方の状態を受け入れないまましゃべってましたね、僕が」
ここでブレイク。槙尾の選曲で、中村一義、きみてらす。
きみてらす、相手をてらす。
自分、自分、とならず、相手のことを思いやるというメッセージ。それが、さっきの話とつながると。
◆岩崎「そのころ仕事全然なかったんで、こりゃいいやとばかりにずっとガーガーやってて。そんでもう、いくらでも修復できちゃうから、ズボンを捨てるって感覚がなくなって」
篠田「さっきから気になってるんですけど、う大さんのお洋服が、すごくかわいいんですよ。」
岩崎「ほんとですか? ありがとうございます。これ、自分でリメイクしたんですよ。」
アポ「ええ!」
岩崎「あの、僕、子供3人いるんですけど、一人目が生まれたのもう10年ちょい前なんですよ。で、そんときに、ミシンを親からプレゼントされて、いろいろなんか、作ったりするんですよね、雑巾とか。それでミシンをやりはじめて、これ、いま持ってるデニムの穴空いてるやつ自分で縫ってやったらできんじゃないかな、ってやったら、けっこういい感じにできたんですよ。で、ああいうのって頼むと高いんですよね。1つの穴埋めるだけでも。そしたらそれが楽しくなって、そのころ仕事全然なかったんで、こりゃいいやとばかりにずっとガーガーやってて。そんでもう、いくらでも修復できちゃうから、ズボンを捨てるって感覚がなくなって。今日のはそうでもないんですけど、上に着てるデニムシャツは、自分でバンダナを買ってきて、それでつぎはぎして」
アポ「肘とかもいいですよね」
岩崎「肘も、破けたので。僕も、いろんな遍歴がありまして、最初はミシンだったんですよ。ミシンの全盛の時代がありまして、そんときはミシンだけでガーガーやってたんですけど、ある時、細かくてミシンが入っていかない部分もあって、それで手縫いでやったらどうなんだろう、という時代が到来しまして。」
宇垣「第2世代の」
岩崎「そして手縫いの中から、刺繍もできるんじゃん、ってなって。」
篠田「私、服飾デザイン専門学校で。リメイク大好きなんですけど、すごいなって思って。デニムってけっこうミシン大変なんですよね、厚手だし。」
岩崎「そう、あの、ミシンやったことある人ならわかると思うんですけど、できたかなって思って裏見たら、ぐっちゃぐちゃになってるんですよね。」
篠田「糸がね」
岩崎「あと、最初はリメイクするのが楽しくて、全ての技を詰め込みすぎて、バランスとれてないんですよ。整形しすぎの人みたいな。美しくないんですよ。それで、一日7時間を4日くらいかけたのを、そのままゴミ箱に捨てたことありますね。」
◆岩崎「さすがにそこまで暇じゃないです」
篠田「ミシン使えたら、リメイクだけじゃなくて、自分の作品というか、お洋服も、作れますね」
岩崎「でも、あれ、型紙とか書かないといけないじゃないですか。さすがにそこまで暇じゃないです」
一同「わはは!」
宇垣「でも、お子さん喜びそうですね、刺繍とか」
岩崎「そうなんですよね。ただ、子どもには一切やってないんです。自分のだけで。」
篠田「いままでで大満足した、この作品、みたいのありますか?」
岩崎「これはでも、いま着てるやつはわりと大作ですね。だんだんやってる箇所も増やしていってて。」
◆篠田「女の子はおとうさん大好きですよ。」
アポ「麻里子さんは最近、リメイクはしました?」
篠田「リメイクはしないですけど、修復はします。あと、けっこう服が大きいことが多くて、自分で詰めたり。お直しにに出すと高いんですよね。だから、自分で直せる範囲のものは直しちゃう。」
宇垣「麻里子さん細いですから、既存のものだとちょっと大きいですよね」
篠田「あと、うちのお母さんも、昔、バッグとか全部作ってくれたんですよ。幼稚園時代に、斜めがけの幼稚園のバッグってあるじゃないですか。で、市販のやつじゃなくて、なんか手作り感のあるのがいいな、って言ってたら、じゃあ生地を見に行こう、ってなって、自分の好きな形のを作ってくれたんです。それで自分もいつかそうしたいな、と思って、服飾へ行きました。」
宇垣「素敵。」
篠田「だから、お子さん喜ぶと思いますよ、やってあげたら」
岩崎「娘がちょうどいま幼稚園上がったばっかりで」
宇垣「幼稚園セット大変じゃないですか、それこそ。」
岩崎「ですね。いま娘にちょっと嫌われてるんで、ぼく。上二人が男なんですけど。」
篠田「女の子はおとうさん大好きですよ。」
岩崎「なんですよね、普通は。」
宇垣「イヤイヤ期とかそういうことかも。」
岩崎「でも、たまに、パパ、また好きになった、とか言ってくれたりするんですよ。でも、触ると、プイ、とされるのが最近多くて。」
槙尾「裁縫で名誉挽回っていうね」
篠田「きっかけづくりじゃないですけど」
岩崎「(暗い調子で)そうですね」
宇垣「きいててこっちが悲しくなってくる!」
槙尾「これがかもめんたるワールド」
★感想
即興芝居をうまくやるために大切なことである、その瞬間に生きることや、自分よりも相手に光をあてることが、普段の対人コミュニケーションを豊かなものにするためにも大切なことであるという話は、興味深く聞いた。キングオブコントを優勝したが、テレビのバラエティ番組にはハマらず、劇団を立ち上げて公演を重ねるという形で活動の基盤を築き、広げ続けけているかもめんたる。バラエティ番組中心の芸人よりも、より息が長く確固とした、支持、評価、ファンベースが得られていそうだ。ミシンでリメイクをしまくっているというのも、味わい深い闇を感じさせる。かもめんたるワールドへの興味が高まる内容だった。
番組は感想を募集している
lab@tbs.co.jp
あぁ、グッドライフの果てはこの目の前に
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