日本でまもなく公開する映画の海外サイトのレビューを勝手に訳出:さらば愛しきアウトロー(原題The Old Man and the Gun)日本公開:2019/7/12

原文:https://www.rogerebert.com/reviews/the-old-man-and-the-gun-2018
Brian TallericoSeptember 28, 2018

今作を手がけた、デイビッドロウリーは A GHOST STORYの監督。

◆ 見かけ通りではない映画

ディビッド・ロウリー監督による「さらば愛しきアウトロー(原題: The Old Man & the Gun)」はその中で描かれる主人公と同じくらい、見かけどおりではない。今作は、アメリカの犯罪の歴史の中でも最も悪名高いとされる銀行強盗の遂行において、銀行の窓口とマネージャーが実質的にそのままお金を手渡してしまうほどの、あるとても魅力的で紳士的な男についてのストーリーを紐解いていく。

◆ レジェンドのファイナルフィルムとして完璧。

しかし、映画それ自体がどれほど牧歌的であれ、今作はその興味とアウトプットの幅で我々を驚かせ続けている、とある映画監督の新たな達成であり、そして、かつて、ひとりの俳優としてのステータスを超越し、アイコン的存在として君臨していた、映画界のレジェンドへのラブレターであり、パーフェクトなファイナル・フィルムなのだ。もちろん、そのレジェンドとは、ロバート・レッドフォードだ。彼は、「さらば愛しきアウトロー」を彼の最後の映画だと発言している。レッドフォードはここ数年で彼が見せたこのないような笑顔で目を輝かせ、彼が演じてきたいくつかの愛すべきキャラクターたちの自然な延長であるかのように今作の役に臨んでいる。彼が劇中で、馬には乗ったことがない、と言う時、そのセリフはジョークとして機能する。なぜなら、私達はみんな、乗馬しているサンダンス・キッドを思い浮かべることができるからだ。

◆ 18回も投獄と脱獄を繰り返してきた主人公

ここでロバートレッド・フォードが演じるフォレスト・タッカーは、生涯を通じての犯罪者で、人生で18度も投獄されている。15歳の時の最初の投獄以来、彼は、彼を閉じ込めようとするほとんどの監獄から脱獄している(脱獄のモンタージュは最高に喜びにあふれ、いくつかのレッドフォード映画のフィルム・フッテージも使用されている)。彼は犯罪者としてのキャリアの終盤で、いわゆる紳士的な銀行強盗とでもいえるようなところに落ち着いている。オーバー・ザ・ヒル・ギャングとして名を上げている2人組(ダニー・グローバーとトム・ウェイツ)と一緒に、ジャケットをカジュアルに広げ、銃を見せて、被害者に優しい言葉を投げかけて、フォレストは銀行を襲う。

◆ その笑顔が武器

フォレストは泣きだしてしまった銀行窓口の女の子に、君はよく働いているよ、と声をかけ、元気づける。彼は必然的に、銃器とおなじくらい彼自身の人をひきつける魅力を武器としている。ローリーは、フォレストがジャケットを広げる時も、画面に銃を映すのではなく、顔と肩のショットにとどめている。その笑顔と青い目が、一番の武器なのだ。
オーバー・ザ・ヒル・ギャングの最後の日々は、2人のサポートキャラクターによって形成される。まず、シシ―・スペイセク演じるジュエル。フォレストは彼女が車の故障で車を道路脇に停めているところで出会う。警察がフォレストを追跡している最中で、彼は機転を利かして彼女のトランクを覗きこむ。フォレストは、彼女に、彼が生業にしている犯罪のことについて話すほどに、ジュエルを気に入る。しかし、ジュエルはフォレストの話を信じない。

◆ 映画的マジックが宿る場面

フォレストとジュエルが、ダイナーやジュエルの家の大きな敷地に一緒に座っている場面では、映画的マジックが宿っている。ローリー監督にはわかっているのだ、レッドフォードとスペイセクが作り出す空気には、ほかの俳優では作り出せないなにかがあるということを。その瞬間には魔法が宿り、なにかタイムレスで、コントロールを超えたものがある。二人がただ笑って話しているのを何時間でも観ていられる。彼らはとても説明が難しいなにかを、こともなげに作り出しているのだ。

◆ ケーシーアフレックがパチーノなら、レッドフォードはデニーロ

そして、ケーシー・アフレック演じる、ジョン・ハント。フォレストを捕まえようとする警官だ。彼は犯罪が起きていることを最初に理解する。ハントは、「ヒート」に例えると、レッドフォードがデニーロであるのに対してのパチーノのキャラクターだ。フォレストのずうずうしさにハントは感心すらし、彼自身40代にさしかかるタイミングで、ただ生計をたてるためではなく、本当の意味で、生きようとしている人物に魅了される。フォレストはお金のために犯罪をするのではない。彼は、胸がざわつき、それが得意だから、それをするのだ。

◆ もう誰もこんな風にはつくらない

ローリーとカメラマンのジョー・アンダーソン、コンポーザーのダニエル・ハートのチームは、「さらば愛しきアウトロー」に、とても歴史映画的な印象を与えている。今作は、おもに1981年に実際に起きた事をベースにしつつ、違う時代に作られた映画であるかのような印象を与える。フィルム・ストック、音楽のチョイス、映画的言語、すべてが2018年に慣れ親しんでいるものとは違い、全体における、マジカルでタイムレスな印象を高めている。陳腐に聞こえるかもしれないが、今作は「もう誰もこんな風には作らない」というフレーズがあてはまる映画のうちののひとつなのだ。

◆ 忘れがたい映画。レッドフォード自身のように。

結局のところ、これは、その人生のストーリーをポーチでビールを両手に語られることを望む、レジェンド自身の心についてのストーリーであり、作り手はその美学を尊重している。そして、ローリー監督はチャーミングなアウトローを描き、今作を観る人によってはただ飛んでいきそうなほど軽妙に感じられる作品に仕上げている。最初は、たぶんそう思う。しかし、誤解しないでほしい。この映画を思い返した時に思い浮かぶのは、ちょっとした会話のやりとりの中の言葉であり、レッドフォードのチャームであり、スペイセクの笑顔であり、もしくはアフレックの態度であると。それはあなたの記憶に何度も去来する類の映画のひとつであり、フォレスト自身のように、去ることを拒絶する。そして、レッドフォード自身のように、忘れ難いものだ。

◆ 日本での扱い

2019/7/12より公開。

関東では

トーホーシネマ シャンテ
立川シネマシティ
MOVIXさいたま
千葉劇場

あたりで上映。
https://longride.jp/saraba/

場所が都内ってだけで値上げでアレなトーホーシネマより、映画ファンへの愛あるサービスを展開する立川シネマシティあたりで観たいものだ。

日本版サイトでは、7/21まで、あなたの忘れられないレッドフォード映画、の投票を募っている、
https://longride.jp/saraba/vote/index_sp.php
応募するだけで、いろいろもらえるチャンス。

ラクをしたいわけではない、人生を楽しみたい、というセリフがグッとくる。

今年の夏は、ロバートレッドフォードの笑顔に乾杯し、真夏のビールをキメこみたい。

 

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