日々働いて生きていると、ちくしょうもう辞めてしまいたい、という、そんな気分にもなるわけで。
身分を破り捨て、やさぐれてしまえたら、と思うような夜だってある。
そんな気分と寄り添ってくれるのが、
やさぐれ刑事 (1976)という映画だ。
監督は、武田鉄矢主演の刑事物語も手がけた渡辺祐介。藤本義一原作で、原田芳雄、大谷直子、高橋悦史らが出演。
もみあげ、眉毛、毛の濃い、態度もでかく、野獣な要素をふんだんに備えている原田芳雄演じる、道警の刑事、西野。野獣な様子でありながら、床上手な高橋悦史扮する杉本に、大谷直子扮する妻を寝取られてしまう。
修羅と化した西野は、「道警に言っとけ! 俺はもうやめた! 」と警察手帳破り捨てて、やさぐれてしまう。手段を選ばず、杉本を追い、寝取られた挙句コールガールに成り果てた妻も利用し、殺しを重ねていく。そこにあるのは、正義の意識ではなく、個人的な怨み。
アンチヒーローな主人公の、明日なきリベンジの、殺し旅。北海道から鹿児島まで、旅をしながら進むので、それら実景も血塗られた復讐ドラマを彩る。
コートの襟を立て、目を細めてタバコを吸う。ハードボイルドに浸る孤独な西野の姿に、観るものはやさぐれ願望を募らせるだろう。
やさぐれてハードに散っていく西野の姿を目に焼き付ければ、よし、いざとなればやさぐれてやればいい、と、また明日も頑張ろうと思えてくる。
辛い時、細かいことは、やさぐれ刑事を観てから、考えよう。やさぐれたその先に答えがあるかもしれない。
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