風間杜夫が堀ちえみとスチュワーデス物語をやる前に見せつけた、常軌を逸した、他人の幸せへの破壊衝動を描いた映画

有名人の結婚ニュースがはびこる日々。

結婚が伝える幸せ、人生のゴール。

憧れの俳優やアイドルや片思いのあの子がゴールを決めても、表では素直に祝福し、裏でむせび泣くのが、大人の作法。

しかしながら、結婚は、妬みや、恨み、コンチクショウ精神のはけ口の対象の常連。

経済的、社会的な階層とも関わってくることもあるから、なおのこと。

風間杜夫が、他人の結婚をおそろしいまでにぶち壊そうとする映画がある。

真夜中の妖精(1973)
監督:田中登
脚本:桃井章
出演:山科ゆり、潤ますみ、風間杜夫、益富信孝

歌を忘れたカナリアは
後ろのお山にすてましょか
いえいえそれはいけません

線路沿いの小汚いスナック、チューリップの二階で売春している、山科ゆり演じる、カナリヤが歌う。

その売春宿に、金持ちのとこに強盗に入り、ついでにそこの娘を強姦してから逃げてきた男、風間杜夫演じる一夫が転がり込むことから、ドラマは回りだす。

カナリヤと一夫の2人の幸せそうな風景も映し出される。浜辺に行ったり、水族館行ったり、ロードムービーの雰囲気。幸せそうに、とっても幸せそうに体を重ねるふたり。しかし、それはその後の惨劇の落差を想像させる刹那的なもの。

とにかく、一夫の、いい生活してるやつらへの怒り、破壊衝動は常軌を逸している。
なぜそこまでするかというくらい、幸せを破壊したい一夫の行き場のない気持ち、激情が反社会なバイブスが溢れ出した怪作。

ロマンポルノにおける名バイプレイヤー益富信孝の、野性味あふれるたたずまいにもグッときた。

本作、いまならアマゾンプライムで視聴できる。

日々のニュースに辟易、生ぬるい人間ドラマに飽き飽き、増税や桜を見る会でマジファックオフ、と思っている人は、是非観てほしい。

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映画、音楽、本のことを中心に、役に立つかどうか度外視して書きたいこと書こうと思っています。サブカルなイベントもよく行くので、そのレポートみたいなことも書くかもしれません。