某公共放送の朝ドラ、おちょやん。
2020年、11/30から、放送を開始している。
通常の、下半期の朝ドラよりも後ろ倒しになっているのは、言わずもがな、コロナ禍での諸々の事情。
どんな話か。
大正初期、大阪の南河内の貧しい家の娘、竹井千代が主人公。家が貧乏すぎて、学校にも行けずに家仕事に手いっぱいになった挙句、道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出される。そこで芝居の世界に魅了され、芝居の世界に。いろんなことがあり、上方を代表する女優となり名を馳せていく…
おちょやん、とは、茶屋や料亭などで働く女中を指す大阪ことばだとか。
おちょやん」は、芝居茶屋で、タフに生き抜き、親しまれた、竹井千代をめぐるドラマ。演じるのは、杉作さん(杉作J太郎)と名前が似ている、杉咲 花。
脚本は、半沢直樹、陸王などにもかかわった、八津弘幸。
第2週は、千代が、道頓堀の芝居茶屋「岡安」に来て、そこに受け入れられるまでを描く。
なにか言われた時の受け答えの返事が、「はい!」ではなく「へい!」でなければいけないというところから、細部に至るまで、厳しく
指導を受ける千代。
しかも、1ヶ月の試用期間の間に女中の仕事が覚えられなければ、容赦なく追い出されるという。
篠原涼子演じる、岡安の女将、岡田シズが、鬼の厳しさを見せる。
風呂にもろくにはいれず、負けじとがんばる千代。10歳なのに、あまりにもな過酷な日々だが、かわいそうとは思われたくない、同情なんてクソ喰らえ、な根性、それを体現する、千代役の毎田暖乃が素晴らしい演技を見せる。
芝居の巡業に来ている、天海一座。そこのドラ息子、一平との交流を通じて、千代は、芝居に興味を持ち、芝居のホンを読むために、文字の読み書きを学びはじめる。
女将や女中仲間はしごきといじめで、10歳でけなげにがんばる千代を追い詰めていくが、シズの母や、岡田の主人などは、あたたかい目で千代を見守る。
厳しい目とあたたかい目。その両方の中で、千代はタフに成長していく。
千代が厳しく扱われる一方、天海一座のドラ息子の一平のあまやかされっぷりにみていて腹が立つが、彼もまた、芝居の一座の中で、たいしてやりたくもない芝居に運命づけられ、偉大な父の跡継ぎという、重さの中にいる。
故郷の父テルオは夜逃げし、ついにほかに帰る場所をなくした千代が、おつかいでミスをしたために、岡田シズに岡安を追放され、もう路上暮らししかなくなるほどに追い込まれるが、なんとか、シズの母に見つけられ、岡安に舞い戻り、土下座をして、ここにいさせてください、と、岡田シズに頼みこむ場面。
10歳の、けなげな、帰る場所のない女の子が、土下座をしている。なんという、痛ましく、残酷なことであろう。大正時代。人の身分の彼我の差に、絶望的な心持ちになる。
しかし、ここで追い出すほど岡田シズも鬼ではなく、千代は、岡安での女中として、正式にいられることになるのであった。
岡田シズの鬼っぷりと、千代のタフさが見どころであった。
次回、3週目は、8年後、千代が18歳、杉咲花の姿になって登場。
朝ドラは、いまや、Amazon PrimeのNHKオンデマンドチャンネルでも観ることができる。
このコロナ禍の中での撮影環境の厳しさ、配信全盛で競合も激しい中、大樹の陰によらず、オリジナルストーリーで勝負する姿勢には、応援したい気持ちが高まる。
おちょやんを観て、日々を生き抜こう。
主題歌
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