ふんどしを茹でる日々の映画感想 劇映画 沖縄 / 裏窓

備忘録のため、己を奮い立たすため、観た映画についての感想を定期的に書き残していきたいと思う。

1週間に二本を目標に。

今週の二本。

■劇映画 沖縄(1969)

DVDで観た。去年ゲットして、そのまま積んであった状態のやつをようやく。

日本へ返還される前の沖縄を舞台に、故郷を奪われた人たちと労働者の苦悩と怒り、熱い戦いを描いた長編映画。武田敦監督、山本薩夫製作。

とても見応えがあった。

権力者の都合の正しさで弱きを殴ることの、正しくなさ、を思った。返還前沖縄で撮影のモノクロドキュメンタリータッチな映像も圧巻。生命力溢れる地井武男も良かったが、一番憎い悪役の戸浦六宏が素晴らしかった。

DVD特典の復刻パンフの中の、戸浦六宏のコメントがこれまた興味深い。民衆が権力者に対して立ち上がり、うろたえた権力者が御伽噺の鬼のように去っていく、というのは、現実の沖縄の問題の複雑さ切実さを捉えていない、と脚本の改訂を提言、それが反映された、と。

お伽噺のように鬼が退散する形で収束するのではなく、現実の世界で、今でも、沖縄での理不尽、抑圧は続いている。沖縄基地問題を描いた映画のルーツと呼ばれる今作の、その熱に触れ、現在の諸問題に考えを馳せるという意味でも、意義深い作品に思う。

苦しい状況の中で、忸怩たる思いを抱えふんばる者、新天地に希望を求める者、そして、長い物に巻かれて威張り散らす者。同じような状況に置かれて、自分ならどうふるまうか、考えさせられた。

後半、アメリカの民主主義の理念に訴えかけるも、無情な判決を受ける展開には、アメリカンニューシネマのそれのような乾いた絶望感、無力感があった。こういう映画こそ、海外で観られてほしい。 
 

■裏窓(1954)

Blu-ray吹き替えで観た。みるぞみるぞ、と去年くらいから思いつつ、観れていなかったのを、やっと観た。アルフレッドヒッチコック監督の作品。ジェームズスチュアート、グレースケリー、主演。 

撮影中の事故で骨折してステイホーム中のカメラマンが、窓から見える近所の人間模様を覗き眺めてるうちに、殺人事件なのでは、という場面を目撃し、恋人のリザとともに、さらに覗きしながら探偵めいた調査を進めていく。

なかなかに見応えがあった。

思っていた以上にステイホーム映画だった。主人公の骨折カメラマンは家から出ずずっと窓から近所の人のプライベートを覗き見。今でいうとこの、家から出ずにTwitterのタイムラインひたすら追うみたいな感じにも通じる。立体的な建物のセットが圧巻だったが、あんなに覗き見させられるくらい、あんな窓みんな開けるか?とは思った。いくら猛暑だからって。

アップの後になにを写すかで、アップになった人の印象が変わるという、モンタージュ理論が応用された、覗き見している主人公と覗いている対象の交互の映像は、古典的なテクニックでもありつつ、映像っておもしろい、映画っておもしろい、という根源的な楽しさの部分を伝えてもいるようにも思った。映像編集の基本中の基本のテクなのだろうが、youtube動画ばかり観ていると、こういう映画らしい映像編集こそ新鮮で斬新に感じられる。

Blu-rayは、2013年に出たユニバーサルのやつを観たが、ナイスな吹替もあるし、特典もメイキングやインタビューなど充実していて、配信ではなくソフトで過去の名作を観る上での理想的なパッケージといった印象。

グレースケリー扮するリザが、部屋の中のプライベートな空間でもずっと、パーフェクトな装いとヘアスタイルとメイクをキープしているのは、生活感がないな、と思ったが、よくよく考えてみると、「生活感」とはいったいなんだろう、とも思い至ったり。

散らかった部屋を、生活感のある部屋、とも言うが、泥棒が入った後くらい散らかっていれば、それは生活感のある部屋ではなく、犯行現場であり、つまりは、程度の問題なのだろうが、では、どれくらいの程度でこなれていたり散らかっていれば、生活感、と言えるのか。

生活、として許容できる程度はその人それぞれであり、共同生活などにおいては、その許容できる生活感の程度で、もめごとも発生する。グレースケリーのあまりの美しさに、生活感がない、と思ったが、それは失礼な話で、生活とは当人にとってそれぞれ基準があるものなのだ。それに、映画の中では、いつまでもだらだらと結婚をきめかねている骨折カメラマンと、結婚するならさっさとしたい、というグレースケリーの関係もある。いつも美しく画面に映るグレースケリーを、生活感がない、というのは、あらゆる意味で、浅はかで、わかっていないということになるのだろう。

現在、2021年2月。
緊急事態宣言も延長で、先が見えない。 
来月には、東日本大震災から、10年の節目を迎える。ただ時間は流れているようでいて、確実に変化している。 

日々に句読点を打つように、カルチャー摂取していきたい。

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映画、音楽、本のことを中心に、役に立つかどうか度外視して書きたいこと書こうと思っています。サブカルなイベントもよく行くので、そのレポートみたいなことも書くかもしれません。